「恋人いますか?」に「いらない」と答えられたら 「恋人はいるの?」と誰かに思わず聞いてしまった時、「いらない」という返事がきたら、あなたはどう思うだろうか。 田島列島さんの『水は海に向かって流れる』(全3巻)は、「彼氏いるの?」と言われた時に「いらない」と答えた26歳の女性・榊千紗が主人公の、シェアハウスを舞台とした物語だ。彼女は過去の出来事から「一生恋愛はしない」と決めている。 日頃から感情を見せない彼女が、シェアハウスに引っ越してきた高校生・直達との出会いをきっかけに、心の扉を少しずつ開けていく様が丁寧に描かれている本作で、田島列島さんは第24回手塚治虫賞文化賞新生賞を受賞した。 『子どもはわかってあげない』も2021年に映画化された田島さん、本作は『そして、バトンは渡された』『老後の資金がありません』『ロストケア』とコメディやシリアスまで幅広い作風ながら「人に寄り添う」作品を撮り続け