■料理の半歩先舞う“妖精” 「ご紹介するのは、豆腐と野沢菜のいため物です」 8月中旬、NHK局内の「きょうの料理」収録スタジオ。メニューを紹介する講師、パン・ウェイの周りには、画面に映らないように、4人のエプロン姿の女性が控えている。 カメラが食材のアップを映しはじめると、ガス台近くにいた女性が、素早く中華鍋をセット。火にかけた鍋の表面に手をかざしながら、パン講師がガス台に来るのを息をこらして待つ。 「熱してありますね」 すでにセットしていたかのように、中華鍋に油をひくパン講師。すると、今度は、別の女性が食材の入った小皿を順序よく、ガス台近くに滑り込ませていく。パン講師はそれを受け取り鍋の中へ。空になった皿は、すぐさま女性たちによって回収された。 「彼女たちはカメラワークを計算していて、画面に映ることはありません。私たちは、彼女たちを“妖精”と呼んでいるんです」 収録を見つめていたスタッフ