小説家の川端康成が日本人で初めてノーベル文学賞を受賞したのは、今からちょうど50年前の1968年。それから半世紀、この文学史に残る出来事が違う結果となっていた可能性があったことが分かってきた。NHKがこの時代のノーベル文学賞の選考資料を調べたところ、賞の選考機関が、2人の日本人作家に同時に賞を贈る可能性を秘密裏に検討していたという、これまで全く知られていなかった事実が明らかになったのだ。選考機関はなぜ「2人同時」を検討したのか。その「2人」とは誰なのか。この発見について、取材記者が報告する。(科学文化部記者 河合哲朗) スウェーデン・ストックホルムの旧市街は、中世からの建物に石畳の細い坂道が入り組み、歩いているだけでなんとも歴史を感じさせる場所だ。 その中心地に位置する広場に、ノーベル文学賞の選考を行う「スウェーデン・アカデミー」がある。 先月、私は、アカデミーの閲覧室に入っては、連日、膨