(左から)キアーとリューとザックはスケボー仲間だ PHOTO ILLUSTRATION BY GLUEKIT, COURTESY OF HULU <貧困や連鎖する虐待などを抱えて生きるスケボー少年たちを描いた注目作> ビン・リュー監督の『行き止まりの世界に生まれて』は、アメリカのラストベルト(さびついた工業地帯)に暮らすスケートボードを愛する若者2人を追ったドキュメンタリー映画だ。 舞台となるイリノイ州ロックフォードはリューの故郷。かつて同州第2の都市だったが、1980年代後半以降、急激に衰退した。時給が15ドルに満たない労働者は全体の半数に迫り、2010年以降は州内で最も急激に人口が減っている町の1つでもある。 そんなロックフォードの寂れた通りを、17歳のキアーと23歳のザックがスケートボードで駆け抜ける。優しく開けっ広げな性格のキアーは、死んだ父のことや、スケボー仲間で自分だけがアフリ