小柄で物静かな少女は、ジャンプ台で誰よりも遠くへ飛ぶ女王へと 姿を変える。女子ジャンプの今季ワールドカップで総合優勝。 ソチオリンピックでの金メダルも期待される16歳は今、何を思うのか。 どこまで飛んでいくのだろう。 他の選手と比べてもひときわ小柄な152cmの体が、ぽんと踏み切ると高い曲線を描き、長い滞空時間の末に降りていくさまは、まさに飛んでいるかのようだ。 次元が違う、とも思える大ジャンプを何度も何度も披露し、そのたびに歓声で沸かせたシーズンを、高校1年生、16歳の高梨沙羅はこう表す。 「あっという間でした」 少し笑顔を見せると、言葉を続けた。 「今までのシーズンより短く感じました。ずっと遠征続きだったこともありますし、やっぱり成績がよかったことがあると思います。成績がよくないと、いろいろ考えてしまう時間が長く感じるけれど、自分でもびっくりするくらいのシーズンだったと思います」 快進