日本では、たまごといえば半熟が人気だ。とろとろ、ふわふわは正義であり、癒しである。一方、中国ではたまごにしっかり火を通す。生食の習慣がないからともいえるが、火を通すからこそ際立つ魅力がある。それは香りだ。 とくに、焦げ目がつくまで焼いたたまごは、香りがぐわっと立ちあがる。それはメイラード反応が起きているからだ。 メイラード反応とは、材料に含まれる糖とアミノ化合物が熱されると、メラノイジンという褐色成分を生み出すとともに、さまざまな香りを発することをいう。例えば、肉をフライパンで加熱すると表面が茶色くなり、おいしそうな香り出てくるが、これこそがメイラード反応によるものだ。おいしい茶色、その多くはメイラード反応によるものといっていい。 さらに中国料理の場合、葱やニラなど香りの高い野菜とたまごは定番かつ鉄板の組み合わせである。こうなると、調味料は塩しかいらない。素材から風味も香りも引き出され、余