#23 不特定のあなたのこと わたしが、あなた、と心のなかで呼びかけるとき、あなたのことはまだ知らない。 「知らない人」には二種類あって、まずひとつが町や電車のなかですれちがう、具体的な姿がみえているけれど関わることのない人。 SNSで見かける人もここに入る。日常でたまたまふれあう膨大な人のなかで、関わりが極端に薄い大多数の人、という感じだろうか。この人たちのことは、出会ってはじめて「知らない人だ」と認識することになる。 そして、もう一種類は、まったく姿のみえない不特定のだれか。 出会うこともなく、具体的に「この人は知らない人だ」と認識することもない、わたしのイメージのなかにしかいないけれど、でもおそらくどこかには存在しているであろうだれかだ。 「姿がみえない不特定のだれか」は、大多数のことではないが、個別の存在でもない。「だれかそういう人もどこかにいるだろうなあ」という憶測、というとわか