2022年10月8日、『さよならシティボーイ』が刊行から一年を迎えた。その日僕は後輩の恋人が出演する声楽のリサイタルを聴きに行っていて、この重要な記念日のことは綺麗に忘れており、後から聞いてみれば編集者の西川タイジさんも例外ではなかった。九月辺りから、「もうすぐ一年が経つんだなぁ」ということは思っていたし、西川さんとも会話はしていたのだ。しかし当日は普通に忘れていた。カレンダーにでも書いておけば良かったのだろうけれど、裏を返せば僕も西川さんも、あえてカレンダーに書くような日ではないと思っていたということでもある。そしてそれは、この日が重要な記念日であることとは矛盾しない。 その数日後、つまりつい先日、友人の結婚式に参加したのだけれど、学生時代にさんざん馬鹿話を交わした旧友たちが揃いもそろって生後一年に満たない赤子を大事に抱えながら出席しており、止まることも戻ることもない圧倒的な時の流れが、