日清食品創業者の安藤百福(1910-2007)と、その妻・仁子をモデルにしたNHK連続テレビ小説「まんぷく」が好調だ。視聴率は放送開始1ヶ月以上を経ても、20%超をキープする。インスタントラーメンという国民食への視聴者の関心の高さを感じさせるが、物語には、一切触れられていないことがある。 それは安藤百福が台湾出身者であるという来歴である。なぜ台湾というルーツが消されたのか。安藤とはいかなる人物だったのか。『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』著者の野嶋剛氏が台湾の故郷への現地取材を行うと意外な事実が次々と明らかになった。 国籍と即席麺 放送が始まったのが今年10月。私もほとんど欠かさず見ており、戦前戦後の厳しい社会環境でたくましく支え合う2人の夫婦愛に時には心を揺さぶられ、時にはハラハラしながら引き込まれている。現在までの視聴率もなかなか好調なようである。 このドラマでは、安藤は日本人として描
書籍に掲載された「支離滅裂な思考・発言」という吹き出し付きイラストをパロディー化し、セリフ部分を改変するインターネット上の「遊び」が、出版元による注意喚起から1か月以上経ってもやまない。 書籍は精神医学に関するもので、「支離滅裂な思考・発言」は統合失調症の一症状を紹介したイラスト。本来センシティブな内容であるだけに、注意喚起後はネットユーザーの間でもパロディーを「やめよう」と発信する声があがる。だが、過熱するユーザーはこうした呼びかけにもパロディー画像を返信。「フリ?だよね?」などと悪ふざけする人さえある。 ■「厳に慎んでいただけますよう、出版社として心よりお願い申し上げます」 あるツイッターユーザーが2018年11月6日、「【 使わないで下さい 】 支離滅裂な思考・発言 の画像 出版元より声明文が出ています」と呼びかけ、ナツメ社の発表文のスクリーンショット画像も添付。2万5000回以上リ
歴史上の人物の評価というものは難しい。新たな史料の発見や再解釈、研究の進展によって、従来の見方が大きく変わることもある。かつて「革命児」「破壊者」と呼ばれた織田信長が、実は保守的な人物であったという近年の再評価は、その最たるものだろう。 星海社から7月に刊行された広中一成『牟田口廉也 「愚将」はいかにして生み出されたか』(星海社新書)もそうした再評価の試みの一つかもしれない。盧溝橋事件で日中の戦端を開き、太平洋戦争で日本陸軍史上最悪の作戦とも言われたインパール作戦を主導した牟田口は、「愚将」といった評価がつきまとう人物だ。本書で著者の広中氏は、牟田口個人への攻撃に帰せられがちなインパール作戦について、牟田口個人の軍歴や日本陸軍の置かれた環境を辿り、牟田口個人でなく「愚将」を生んだ日本陸軍という組織の問題を、牟田口個人の評伝という形で明らかにしようとしている。 『牟田口廉也「愚将」はいかにし
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