Twitterで散々書き散らしたのだが、大人向けのキャラクター小説を読みたいなあ、と思う近頃である。ここでいう大人向けというのは、子どもに読ませるのはちょっと……と思われるくらいダークだったり、シリアスだったりする傾向のことだ。 具体的な作品例としては、『Fate/Zero』とか『マルドゥック・スクランブル』をイメージしている。かたや同人から出てきた異色作、かたや数々のライトノベル出版社から出版を断られた問題作、というわけで、このような作品はいまの出版事情ではイレギュラーなようなのだ。 しかし、ぼくはもっとこの手のアダルトなキャラクターエンターテインメントを読みたいのである。はっきりいって、ライトノベル的なものは好きだけれど、いまのライトノベルではいかにも物足りない。キャラ萌えはいいのだが、ライトノベルの物語も人物もいかにも子どもっぽすぎる。 それでも、以前はぼくの嗜好を満足させるような作
やはりブロガーたるもの、人気が出ないとわかっていても、思いついたことはどんどん実行していき、ブログを進化させるべきなのであります!…ということで鼻息も荒く始める新コーナー、何回続けるかわかりませんが、おつきあいくださいませ。 今回の企画は、古今東西の名作小説の冒頭の2ページ分だけを精読、徹底分析し、その優れた手法をブログで実践してしまおうという、野望に満ちた企画です! 二つの前提 この企画を、二つの前提のもとにすすめていこうと思います。 (1)「小説を読む」ことの本質は「細部を読む」ことにある たとえば、あらすじレベルで言うのであれば、漱石の『吾輩は猫である』は「猫が行ったり来たりして最後に溺れ死ぬ話」に過ぎません。面白さゼロですね。小説の面白さは細部にあります。極論すれば、筋なんてどうでもよいのです。あれは飾りです。偉い人にはそれがわからないのです!同じ1000字読むなら、あらすじを読む
公式ページ。 監督・脚本:トラン・アン・ユン 1987年刊行の、村上春樹のベストセラー小説の映画化。 公式ページによると「日本の国内小説累計発行部数歴代第1位」だそうである。 60年代後半、大学生のワタナベ(松山ケンイチ)は恋人が自殺してしまって以来、精神のバランスがおかしくなってしまった直子(菊池凛子)を愛するようになる。 遠方の療養所にいる直子にはなかなか会えない中で、彼は緑(水原希子)にも逆ナンされる。まあそういう話。 ・その1 まずは、原作について、1987年の時代の空気も含めて。 本作は当時の村上春樹の小説の中では異質な作風である。 それまではどちらかというと寓話的な、ファンタジックな要素を盛り込んでいたのに、本作ではまず登場人物に固有の名前がある。そして時代背景もきっちりと描かれている。 おそらく、作者が「今回は趣向を変えてみよう」と思ったのは明白で、それが大当たりしてしまった
初めて梅干しを作ってみた話 今年の夏、初めて梅干しを作りました。 私梅干し大好きなんですが、自分で作るという発想がなくて…同僚が梅シロップを作っているのに影響されて去年から梅仕事を始めてみたんですが、そのときの説明書に「梅干しの作り方」というのも入っていて、えーー梅干しって自分…
以下に公開するのは、昨年の秋に僕にとってはじめての本格的な文芸評論の連載第一回として脱稿し、その後、ある雑誌の編集者とやりとりをしながら、連載開始の機を窺ってきたものです。何度か細かい書き直しを求められ、その都度スケジュールをやりくりして応じてきましたが、最終的に自分として、同編集者との信頼関係はもはや維持しがたいと結論するに至りました。また、最後に言及されている朝吹真理子『きことわ』が芥川賞を受賞したこともあり、脱稿後、半年を経て続きを書くことも出来ないまま(当初は月刊誌での連載の予定)、僕がそもそもしようとしたことからすると、内容的なタイムラグが埋め難くなってしまったと思われたので、稿料生活者としては忸怩たる思いですが、ここに全文を公開する次第です。 公開に際しては、編集者の要望に沿って行なっていった改稿後の最新ヴァージョンではなく、最初に書いたママに戻しました(ひとつだけ挙げておくと
世の中は夏休み…暑いですね。 学生の皆さんは、ボーッと過ごしてるんでしょうか。 休みをとっちゃったけど予定がなくてネット見ちゃってる大人の皆さんも、ボーッと過ごしてるんでしょうか。 たぶん、ほっておくと、夏はあっという間に過ぎてしまいます。 そこで今回、「夏休みの間に、何かしたいな」「何か書いたり出来ないかな」と漠然と思っている方に向けて、ライトノベルの編集をしている友人に「ライトノベルの書き方」を、ざっくり大雑把に聞いてきました。 いや、私個人が、「ライトノベルって一体何なんだろう」って前々から思っていたので、詳細を知りたかった、というのが、あるのですが――。 ---今回は宜しくお願いします。匿名ですが、私の後輩のC太郎くんです。 「C級C太郎と申します、ライトノベル作ってますー」 ---んで、Cくん。どっから話してもらいましょう…。そもそも、ライトノベルって…何? 「うーん、挿し絵付き
「Twitter文学賞 ツイートで選ぶ2010年ホントに面白かった小説」 【やってみようと思った気持ち】 わたくしトヨザキは、投票による民主的なランクづけには元々懐疑派でした。 というのも、本屋大賞に顕著なのですが、そこそこ本を読んでいる人たちによる人気投票は、とんでもなくだめな作品はランクインできないという見識の高さを示すと同時に、しかし、先鋭的な作品もはじいてしまうという無難なつまらなさを露呈してしまうからです。 ところが2009年末、「読んでいいともガイブンの輪!」(わたしが偶数月にやっている海外文学に特化したトークイベント)の参考にするため、Twitterで「今年読んで面白かったガイブン」の投票を募ったところ、「このミステリーがすごい!」や「週刊文春ベストミステリー」よりもずっと刺激的な結果が出たんです(こちらを参照 http://d.hatena.ne.jp/bookreview
第16回は作家の矢作俊彦さん。「小説家という職業」について語ってくださいました。 映画監督を目指していた青春時代から、影響を受けた小説や映画作品、出版界の現状について幅広くうかがいました。聞き手はいつものように文芸評論家の池上冬樹さんですが、今回は矢作さんの長年の同志で、「二代目矢作俊彦」の異名を持つ小学館の文芸誌「きらら」編集長の稲垣伸寿さんにも加わっていただきました。 ◆小説家じゃない/割りに合わない商売 ――「小説家という職業について」という話で、こまかいところまでうかがいます。 矢作さんは、十代で漫画家としてデビューされています。漫画家でデビューして、22歳のときに早川書房の「ミステリマガジン」から短編でデビュー。作家となります。そのあと作家をやりながらラジオやテレビの構成も手がけてらっしゃいます。 矢作 作家はやってないです。21~23歳までの間に短編を3~4本書いただけで、作
勝手にふるえてろ 作者: 綿矢りさ出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/08/27メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 280回この商品を含むブログ (113件) を見る 内容紹介 片思い以外経験ナシの26歳女子が、時に悩み時に暴走しつつ「現実の扉を開けてゆくキュートで奇妙な恋愛小説。3年ぶりの注目作! 内容(「BOOK」データベースより) 賞味期限切れの片思いと好きでもない現実の彼氏。どっちも欲しい、どっちも欲しくない。恋愛、しないとだめですか。 毀誉褒貶はありましたが、いままでの「綿矢りさ」のイメージを打ち破りたいという決意は感じられた『夢を与える』から、もう3年も経ってしまったんですね。 そういえば、『夢を与える』は文庫化されていません。 いまの文庫化のサイクルから考えると、単行本発売から3年というのは、かなり間隔が空いているように思われますし、もしかしたら、著者の意
by churl 「シャイニング」「ミザリー」といったホラーものから「刑務所のリタ・ヘイワース(映像化タイトルは「ショーシャンクの空に」)」「グリーンマイル」といった非ホラーまで多くの小説を手がけ、また、映像化された作品も数多い作家のスティーヴン・キング。そのスティーヴン・キングがこれから小説家を目指す人に向けて、成功するために何を知っておかなければならないかという12のノウハウを伝授してくれています。 これは小説家に限らず物を書く人、そしてクリエイター全般について言える内容となっています。 キングの語る12の「知っておくべきこと」は以下から。 Everything You Need to Know About Writing Successfully: in Ten Minutes - Great Writing Creative Writing Community 1.才能・天分 これ
歌人 枡野浩一/ピン芸人としての芸名は「歌人さん」 @toiimasunomo イケメン俳優が小説で賞をとっても全然おかしくない。スポーツマンで高学歴で帰国子女なら、さぞ書くことも多いだろう。町田康だって男前でパンク歌手で俳優で文学賞をとりまくりの作家だし。社長の息子で女たらしで凄く文才のある知人がいる。ほかに活躍できる場があるから書いてないだけって印象だ。 歌人 枡野浩一/ピン芸人としての芸名は「歌人さん」 @toiimasunomo 町田康なんか萩原朔太郎賞受賞者だ。あまりに色々活躍してるから詩の賞のことなんか忘れちゃうけど……詩しか書けない人だってたくさんいるのに。川上未映子だってメジャーデビューしてた歌手だし中原中也賞受賞者だし美人だし弟はラグビー選手。私は物書きは顔が大事だと思う。美形でも。その逆でも。
小説を書く基本技術がひととおり。 新米作家の教則本として読んでもいいし、深い読書への手引書として扱ってもいい。「小説は、Why? とBecauseで推進される」とか、「読書の快楽は予定調和とドンデン返し」といった基礎だけでなく、「同じ村上でも、春樹は回想、龍は実況」や、「谷崎は変態、三島は売れない俳優」といった、著者の文学観をも垣間見ることができる。 なかなか実践的なのは、各章のおしまいに「練習問題」がついているところ。たとえば、既読の小説のあらすじを100字にまとめろという。要約することで、いわゆる「読ませどころ」へ向かわせる物語の軌跡が見えてくるんだと。さらに、要約した小説の帯コピーを50字でまとめろという。キャッチコピーを考えることで、その小説の「最大の売りどころ」を見抜けという。要は「目玉」やね。おもしろそうだとそのとき感じた作品を漫然と読んできたわたしにとって、いい刺激になる。
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