経済政策を初心者にもわかりやすく解説することを目的とした飯田さんらしいコンパクトでわかりやすい新書だと思います。岩田規久男先生との共著『ゼミナール経済政策入門』の準備段階としてぜひ読んでもらいたい本でもあります。 まず本書は「幸福」を経済政策の目的として議論していきます。不思議なものですが、経済学はレトリックとして「人々の幸福を改善する」とはいますが、なかなかちゃんと定義されたものとして「幸福」をつい最近までその政策目的としてはいませんでした。ここで飯田さんが定義されたものとして「幸福」を経済政策の目的として、それを入門段階で議論しているのは本書の最大の特徴といえるでしょう。 ところでこの本は実践的で割り切りのいいやり方でこの「幸福」を扱っている点にも特徴があるといえそうです。冒頭、飯田さんは「幸福」には二種類の視点があると提起しています。1)そもそも国民の幸福とは何かを価値判断を含めて考