タワーマンションと古くからの商店が混ざり合う東京、月島。その一角にキリスト教の教会、月島聖公会がある。 ここでは月に一度、外国とつながる子どもたちを対象にした「ごはん会」が開かれており、私が訪れた日にも小学生からこの春大学を卒業した若者まで、さまざまな国につながる子どもやその家族が集まっていた。中には自宅から電車で2時間かけてやって来たという子もいる。 この日のメニューはフィリピンの家庭料理、チキンアドボ(鶏肉の煮込み)とトロン(バナナの春巻き)だ。 料理の指導をしてくれるのは、参加者の母親であるフィリピン人の女性で、子どもたちもお手本にならってバナナを春巻きの皮で包んでいく。 料理や食事をしながら、おもむろに「ちょっと聞いてくださいよ」と悩みを吐き出す子もいれば、大人たち相手にぽつりぽつりと話し始める子もいる。 この「ごはん会」を主催するのは「カパティラン(タガログ語で「隣人愛」を意味す