ブックマーク / sagasitasekai.com (10)

  • 東京の雪の景色を映像で見ると、北欧映画の数々を思い出すこと - 失われた世界を探して

    東京は大雪になるらしい。というか今年はやたら寒く、やたら雪が降る。比較的暖かい僕の住むこの地方都市にも、今年は何度か雪が降った。 東京時代、雪がチラつくとなんとなく北欧映画が見たくなって、レンタルビデオ屋へ足を運んだ。当時は笹塚に住んでいて、会社から帰る途中、駅から出て甲州街道へ歩きながら粉雪がチラつくのを目にすると、スーパーに立ち寄って夕材を買った後、アパートへ向かう途中にあったレンタルビデオ屋に入り、いろいろと借りた。そして一人鍋なんか作りながら、ゆっくりテレビデオで作品を見るのだ。「ボクたちはみんな大人になれなかった」の時代の一人の若者の話である。 北欧映画といってもいろいろあるが、90年代であれば「春にして君を想う」が有名な作品だ。これは老人ホームから抜け出した幼馴染のカップルが、ホームを抜け出し、生まれ故郷へ死への旅路に出かける話を描いた美しいロードムービーである。作品中に

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    sumomomam
    sumomomam 2022/03/06
  • 2022年の初めにガンダムと小松左京と加藤周一と方丈記を思い巡らせたこと - 失われた世界を探して

    先の世界大戦が終わってから生まれた人が、8割になるという。 どっかの大学の学生の4割は日アメリカ戦争したことを知らないという。 まぁ今は子供の6割が大学生になるらしいので、数十年前の小学生時代を思い出し、懐かしい面々を思い出し、う~ん、今やクラスの半分以上が大学生になるのか、じゃあその半分弱はあんまり勉強が好きじゃないタイプだね、なんて類推し、そんな調査結果になっても当たり前と頷けるのだが、あんなにとんでもない事が起こったとしても、あんなにひどい不幸があんなにたくさんの人々の人生を奪ったとしても、たった数十年で人々の記憶から薄れ、何事もなかったかのように世の中は動いて行く。諸行無常である。 同時に、学ばない人間と言う種の限界なのかとも思う。 だから、ガンダムってコンセプトが凄かったんだな、なんて思う。結局、「人間と言う種の限界」があの子供時代に熱中したアニメのテーマだった。子供ながら

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    sumomomam 2022/01/18
  • 九州一周旅行の最後に機内で人生をしみじみ考え込んでしまったこと - 失われた世界を探して

    九州一周旅行はいよいよ終盤に入った。延岡の安いビジネスホテルを早朝に出発し、僕たちは高千穂に向かった。神が降臨したというあの高千穂だ。古代史が大好きな家人が、吉野ケ里遺跡に次いで楽しみにしている場所だった。 高千穂は想像以上に山間にあって11月ということもあり、さすがに肌寒かった。実は4日前に博多空港に降り立った時から「やっぱ九州、暖かいや」と思っていたし、指宿ではなんだか秋の始めくらいの気候に感じたから、高千穂の冷たい空気が、ちょっとピリッと気を引き締めた。そうそう、ここは信仰の対象となる神聖な場所なんだ。 とはいえ、やはり僕たちは観光客なので、そそくさとボート乗り場に向かい、「よかったぁ、平日の早い時間なら並ばないってホントだったんだ」なんて思いながら、ボートに乗り込む。 漕ぎ出すとすぐに、テレビや雑誌で見るあの光景が向こう側に見えてきた。大興奮だ。でもここは神聖な場所だから大はしゃぎ

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    sumomomam 2021/12/28
  • クラシックカメラにフィルムを装填し、空っぽの世界に静かな戦いを挑むこと - 失われた世界を探して

    ロスジェネの一人として腐らずに諦めずに、日々の生活はしみじみと楽しむことにしているが、その中でスローライフというのは重要なキーワード。立ち止まってゆっくりとプロセスを味わう、が静かな僕たちの戦いだ。 そんなスローライフの一つとして、クラシックカメラでじっくり手間暇(てまひま)をかけて、美しいと思った風景や、感動した場面を絵画のように切り取る、というのを時々やっている。ありきたりだけど、フィルムを装填する、シャッター速度と絞りを決める、構図を決める、そしてパシャリとボタンを押す、という一連の過程が、普段の仕事の時間なんかと全然違うリズムで流れていて、当に楽しい。 もともとは父親の形見のマニュアルカメラをいじっているうちに色々調べ、興味を持ってあれこれ調べているうちに、欲しいクラシックカメラが出て来て中古市へ探しに行き、手に取って撮影するうちに、そのフィルム独特の優しいボケ味とか色彩、それか

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    sumomomam 2021/12/19
  • 365日のベッドタイムストーリーは結局、その4倍もの期間を海外で一緒に過ごしてくれたこと - 失われた世界を探して

    海外へ赴任するとき、行き先があんまりにも僻地で、事前情報ではネットもちゃんと繋がらないし、言葉も通じないし、テレビで日語の番組も映らないし、ということだったので、仕事以外の時間は気がおかしくなるのでは?と不安な点もあり、日から送る荷物に大量の書籍を入れた。 ミステリーから古典から詩集から評論から、とにかくそれまで繰り返し読んできた書籍で、向こうへ行っても繰り返し読めるものだった。 あと現地の交通事情(マナー?)が悪すぎて、会社の規定で自ら車を運転することは禁止されていたので、ドライブさえ出来ないなんてこれも大きなストレスかな?と思い、プレステとグランツーリスモも送り込んだ。ホテルの部屋でコントローラーを手に、ポルシェにでも乗って延々とTV画面の中を走り続け「無」になろうかな、なんて考えていた。 初めての海外赴任で、それくらい不安だったんだね。。 で、いよいよ出発する日、空港まで見送りに

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    sumomomam 2021/11/27
  • 天上の岬で青い空と海に囲まれて馬を眺め、冷や汁をお腹いっぱい食べたこと - 失われた世界を探して

    九州一周旅行は福岡の博多空港に降り立ったところから始まり、長崎、佐賀、熊、鹿児島を経て、宮崎に入った。宮崎にはどうしても行ってみたい場所があった。 都井岬である。 日向灘の南端にあるその美しい岬には、野生の馬たちがいるという。 その日もとても晴れていて、岬の上には突き抜けるような青空が広がっていた。美しい岬だった。絶壁の上に草原が広がり、その上をのんびりと馬たちが歩いていた。 全てが絵になる風景である。平日ということもあり、僕たち以外は誰もおらず、あまりに世離れしたゆったりした時間が流れていたので、なんだか別の国に来ているみたいだった。青い空と海を背景に、少し離れてその野生の馬たちを眺める。 さらに離れてみると、やっぱりこれは、もはや一枚の絵画だ。 すんごいや。こんな場所があるなんて信じられない。僕たちは時間を忘れて岬を歩いた。プラプラ歩いた。馬たちを眺め、海を眺め、空を眺めた。美味しい

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    sumomomam 2021/11/22
  • 怪人プチオは無敵の人とは違うけどある意味、この世で最悪であるということ - 失われた世界を探して

    学生時代に銀座の地下通路にあった映画館「銀座シネパトス」で「怪人プチオの密かな愉しみ」という映画を見た。おそろしくマイナーな映画で、でも迫力のある内容で、第二次世界大戦中のナチス占領下のパリに実在した医師プチオの話である。 占領下という異常な状況、混沌とした時代背景の中で、プチオは国外逃亡を手助けすると言ってはユダヤ人をだまして自宅へ匿い(所有する貴金属も持って来いと指示した上で)、ワクチンの接種証明が必要と偽って毒薬らしきものを注射し、一室に閉じ込め死んでいくのを待つ。そして死体は焼却炉で焼いて、金品を自分のものにしてしまう、を繰り返した。 なんと30人以上が犠牲になったというのだから、いわばサイコパスによる連続殺人である。サイコパスというと快楽殺人と結び付けて考えてしまうけど、たいていのサイコパスはもっと人を殺す動機が平凡であり、「だってご飯べるにはお金がいるでしょ?殺したらお金が手

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    sumomomam 2021/11/18
  • アラン・シリトーの「長距離走者の孤独」はランボーの「永遠」という一編の詩に帰結し、地方都市の若者は東京を目指すということ - 失われた世界を探して

    ストーリーの中身そのものというより、文体の美しさとか躍動感でどんどん読み手をその世界観へ引き込んで行く、そんな小説がある。 昭和文学でいうところの谷崎潤一郎であれば「母を恋ふる記」という作品なんて、ようするに自分が見た夢の話をタラタラ書いただけなのに、それはもう驚くほど美しい文体であり、切ない一個の叙事詩になっている。ストーリーそのものに特に工夫はない。ただただ文体の美しさの中に読者は吸い込まれて行くのである。 その点、「疾走感」というコトバがぴったりの文体で書かれているのが、アラン・シリトーの「長距離走者の孤独」という短編である。長距離走者の話で疾走感なんて、まるでウクレレを弾きながら「ハワイの夕暮れ」という題名の曲を演奏するようなもので、そのままじゃん、と言われれればその通りなのだが、その瑞々しい文体は英語の原文を読んでも主人公の焦燥感や息使いまでが伝わって来そうな迫力をもって、非常に

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    sumomomam 2021/11/14
  • 女心はくすぐられなかったようなので、自分が頑張ってオシャレな小物を揃えて家族の健康を祈ったこと - 失われた世界を探して

    家を建てた時に高品質低コスト・「住む」を目的に機能と動線を最優先、という具合に僕は話を進め、毎回、工務店との打ち合わせの都度、PCを持ち込み、事前に自分でエクセルで引いたレイアウト図や希望する仕様や材質を提示し、あわせてやはりこれも事前にネットで調べたそれらの相場価格、一般的な工賃、工務店側の想定利益(取り分)などをこちらから提示し、交渉の上、最終的に思い通りの家と金額になった。 普通は家を建てる時は、やはり夢のマイホームであり、「夢」の大半は奥さんの夢である場合が多いので、住宅営業マンは打ち合わせ時に常に奥さんの顔を見て語り掛け、「おしゃれな吹き抜けの〇〇はどうですか?」「おしゃれな出窓をこのあたりに取り付けたらどうですか?」とか、要するに女心をくすぐって口車に乗せて、およそ機能性とは無縁でそのぶん工務店にとっては利益幅の大きいオプションをどんどん勧めて来るのだが(あっという間に見積金額

    女心はくすぐられなかったようなので、自分が頑張ってオシャレな小物を揃えて家族の健康を祈ったこと - 失われた世界を探して
    sumomomam
    sumomomam 2021/11/07
  • ダイバーシティって言葉を聞くとアジアの山奥でいろんな料理を食べた経験を思い出すこと - 失われた世界を探して

    ダイバーシティという言葉が会社の研修などで頻繁に出てくるようになってだいぶたつけど、多様性の受容というのは口で言うほど簡単ではない。だって自分が生きて来て自分という人生を必死で乗り切ってきた過程では、「世界中の誰がなんと言おうと自分が好きなのはこれだ。正しいと思うのはこれだ。」という一つ一つの信念とか情熱を積み上げてきた歴史があり、それは裏返せば「でもいろんな価値観もあっていいよねぇ、なんてあっさり言えね~や」という音があるからだ。価値に付随する信念というものはそういうものだ。 一方、恵まれた環境でのほほんと生きて来れた人々は、「自分はこれがいいと思うけど、押し付けないよ。あなたはそれがいいと思うなら尊重します」と言えるかもしれない。だって、別に死に物狂いで「自分はこれがいいんだ」なんて構えなくても、人生を豊かにのんびり生きて来れたし、これからも生きて行けるからだ。価値の構築に情熱や信念

    ダイバーシティって言葉を聞くとアジアの山奥でいろんな料理を食べた経験を思い出すこと - 失われた世界を探して
    sumomomam
    sumomomam 2021/11/06
    読者登録ありがとうございます。内容に圧倒されコメントを書きそびれるところでしたが、よろしくお願いいたします🍀
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