『サド侯爵の呪い』には、ギュスターヴ・フローベールの描くような愛書狂を魅了するさまざまな書物が登場する。愛書狂が求める書物の多くは、驚くほど美しい。 たとえば小口絵というものがある。分厚い本の側面の角度を調節すると、絵が現れるという仕掛けがほどこされているのだ。動画もみつかるので(Youtube「A Hidden Art Form You’ll Flip For」など)、機会があればぜひみてほしい。 もっと奇妙なところでは、人間の皮膚で装丁した書物がある。『サド侯爵の呪い』の登場人物のひとり、フレデリック・ハンキーは個人で大量のエロティカの本を英国に持ちこんでいた蒐集家だ。彼の厳選した数少ないエロティックな本のコレクションには、性や死や拷問を想起させる露骨な装丁が施されている。彼は人間の皮膚で装丁したいと考え、できるなら生きている若い女性から剥いだ皮膚を求めていたという。 実際に人皮装丁本