本屋さんで見つけた瞬間、自然に手が伸びました。にわかSFファンにとってはえらい人の話の中で聞いて想像することしかできなかった、幻と読んで差し支えない大古典の再販。本当にいい時代ですね。 すごい雑多さ。この雑多なアイデアの闇鍋状態は、バリントン・J・ベイリーさんの『禅銃』と同じ方向性のものに思えます。これが、いわゆるパルプフィクションなるものをルーツとして持つ作品の特徴なのでしょうか。 主人公、ガリー・フォイルさんの人格表現が、凄いです。復讐に命を燃やし、動物的な本能に突き動かされ、本能に忠実であるがゆえに必要の要請で遂には高い知性をも獲得する。「動物的な激しい知性」というキャラクター造型を、この50年前の作品で私は初めて知りました。 随所の表現なんかも、うっかりすると50年前の作品であるとは思えない自然なものです。ただ、今見ても「新しい」とまで思えるという意味では、ガリーさんのこの造型がい