テントの中がサウナと化している。 髪の毛を濡らしていた水分たちが音を立てて蒸発している気がした。死。ぼやぼやしていると、自らに訪れるのはそれ以外の何物でもないと感じた。 テントから出ると、焼けたアスファルトをサンダルで踏みしめ、ふたたび歓声飛び交うプールへと向かった。娘は身体ほどもある大きさの浮き輪を両手でつかんでいる。水辺に近づくとそれだけで体温が下がるような気がした。実に涼やかだ。 娘が水に浸かり、妻がその後を追う。私は水着姿の息子を抱きかかえ、彼の足先を少しだけプールの水につけた。最初は驚き、声をあげたが、繰り返すうちに心地よさを覚えたのか、すんなりと受け入れるようになっていった。 私は浅い子ども用プールにそのまま腰を下ろし、目の前に息子を立たせた。水面を叩くとしぶきがあがり、それが顔に跳ね、少し驚いた表情を浮かべた。 今日は快晴の下、オモチャ王国を訪れていた。しかも仲の良い同期家族