海老フライを揚げる匂いには心躍らされる。 そしてその音にも。パチパチパチと油が小気味良く弾けている。彼らが跳ねれば跳ねるほど衣はサクサクに仕上がるのだ。いいぞ、もっと飛び上がれ。 食卓には30尾の海老フライが並んだ。私と妻、そして娘の大好物なのだ。市販のものならいつもふたりに譲るようにしている私も、手作りの海老フライなら話が別である。 今夜は少なくともひとり10尾は食べることが約束されている。私は意気揚々と皿に箸を伸ばした。 ただ食べ始めると、確保した10尾はあっという間に平らげてしまった。サッパリとした紫タマネギのサラダで口の中をフラットに戻す。あとは娘の10尾からのおこぼれを、ただ待つのみであった。 結局、娘は3尾でギブアップとなったので、残りを妻と分け合った。私は14尾を胃袋に収め、それで満腹となったことにより、茶碗に盛っていた手付かずの白米を炊飯器へと戻した。 大満足の海老フライ祭