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  • 中年ナルシストの道は狭く険しい - シロクマの屑籠

    これから「中年ナルシストの道は狭く険しい」という小話をするが、私は小心者なのでおことわりを入れておく。 私は、自分のことをナルシストだと思っている。 だってそうだろう、二十年以上もインターネットで自己表現……といえば聞こえはいいけれども、自分の話を聞いて聞いて聞けよ聞けったらとやってきたわけだから、これをナルシストと呼ばず何と呼べばいいのか。私が承認欲求やナルシシズムについてずっと書き続けていたのも、自分がそうだからという部分を否定できない。他人の承認欲求やナルシシズムにアンテナが働くのは、同類・同族のたぐいだからではないだろうか。 で、そんな私も中年になった。 中年になってナルシスト続けていくの大変かなーと最近は感じている。 【ナルシシズムの夕暮れ】 ナルシスト。 自己愛。 ナルシストにも色々なタイプがあるけれども、とにかく、歳を取ってくることでナルシシズムが成り立ちにくくなる部分がいろ

    中年ナルシストの道は狭く険しい - シロクマの屑籠
  • あの頃私は買いだめして、本能を充たし不安を防衛していた - シロクマの屑籠

    暑いのか秋っぽいのかわからない夜長に眠れなくなってしまった。少し前の思い出を書きたくなったので、新型コロナウイルスの脅威がいちばん切迫していた頃の思い出話を書く。 まず、参考までに3月19日付けのヤフーの記事へのリンクを貼り付けておく。 新型コロナ影響でコメ・パスタなど品のストック需要が伸長(日糧新聞) - Yahoo!ニュース あの、人々がカップ麺やパスタや缶詰をまとめ買いしていた頃、私も少しだけ買いだめしよう・買いだめしたい、と心がけていた。例の、日社会についてまわる世間体が気になっていたから、私の買いだめは他のお客さんや店員さんにバレにくいかたちで実行にうつされた。 こそこそ買いだめ作戦。その内容は、「使う予定のない缶詰をひとつ余計に買う」「いつもよりパスタソースを1パックだけ多く買う」といったことを一か月ほど地道に続けるものだった。金額にして、一回あたり300円かそこらの買

    あの頃私は買いだめして、本能を充たし不安を防衛していた - シロクマの屑籠
  • "本当は正しくない『となりのトトロ』"が、受け入れられている - シロクマの屑籠

    となりのトトロ [DVD] 発売日: 2014/07/16メディア: DVD 『となりのトトロ』は子どもが妖怪に出会う物語だ。 妖怪が出るような、よくわからない場所が間近な生活圏にあったということだし、よくわからない場所に子どもが出入りする自由があったということでもある。 おばあちゃんの田舎へと引っ越してきたメイとさつきは、まず廃屋同然の新居を冒険する。 新居はほこりだらけで、ぼろくなっていて、まっくろくろすけ(すすわたり)が巣っている。まっくろくろすけが巣っているということは、新居はよくわからない場所で、そのよくわからない場所に、メイとさつきが踏み込んでいったわけだ。 床を踏み抜いてしまうかもしれない、リスクのあるよくわからない場所に子どもが入っていくのは、令和の子育て感覚では許容されない。親や周囲の大人が許容しないだけでなく、よく訓練された令和の子どもなら、よくわからない場所に勝手

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  • 桜の償いはこれからも続く──劇場版『Fate/stay night』雑感 - シロクマの屑籠

    www.fate-sn.com お盆の終わりに劇場版『Fate/stay night』を見に行った。映画館は満席になっていて、さまざまな世代のファンが集まっていた。来、今年の春に公開するはずだった作がようやく公開された爪痕がパンフレットに残っていて、その広告欄には劇場版『Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット』8月15日公開などと書かれていた。ともあれ、作がどうにか公開されて、原作の桜編(Heaven's feel)が完結したのは嬉しいことだった。 Heaven's Feel、おそらくFGOから入ったであろう中高生が「???」ってなりつつも映像美を堪能して、俺の左斜め前に座ってたおじさん(おそらく月姫の頃に二十歳くらいだったんだろうね)が泣いてたあたりで、「やっぱ型月ってすげーわ」ってなった— とど (@FeZS6mNpazh5xmm) 2020年8月16日 ああ

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  • 『健康的で清潔で、道徳的な~』のたのしい参考文献たち - シロクマの屑籠

    健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて 作者:熊代亨発売日: 2020/07/09メディア: Kindle版 おかげさまで、『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』は重版となりました。8月10日現在、Amazonでは売り切れ状態となっていますが、前より屋さんで取り扱っていただけているので、屋さんで見かけた折には、是非手に取ってみてやってください。 このは、私が書きたかったことを85%の純度で書けた稀有ななので、私自身、再読するとつい面白いと感じてしまいます。ですがその面白さの大半は、参考にした書籍や文献の面白さに由来するものだと思っています。 宣伝もかねて、今日は『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』の参考文献から興味深いもの・恩義を感じているものをいくつかご紹介します。どれも、当該分野について興味を持っている人ならきっと楽しめ

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  • コンテンツに出てこない"強い女性"について - シロクマの屑籠

    昨日、非モテ昔話をしたので、もうちょっと陰気な話を続けたくなった。そうする。 強い女性、強い男性、といった言葉を人は使う。 では、強い女性とはどういう女性のことなのか。 先日、この「強い女性とはどういう女性のことなのか」について、辛口ツイッタラーの小山さんが以下のようなことを記していた。 「オタクは結局、小池百合子を描けなかったのではないか?」みたいな思いがある。クシャナとかハマーン・カーンとか南雲警部とか、オタクの考える「強い女」はどうも現実の強い女とは種類が違う。女性的な弱さは描けても女性的な強さを描けなかったのがオタクな気がする。— 小山晃弘 (@akihiro_koyama) 2020年7月27日 やはりね、現実の強い女は「ずるい」んですよ。その狡さ卑怯さ軽薄さにオタクは耐えられなかった。清廉な悲劇のヒロインに萌え続けてしまった。その結果がオタク美少女のオス化であり、オタク自身のメ

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  • 社会が非モテ論壇に追い付いてきた(という不幸) - シロクマの屑籠

    恋心すらセクハラ…若い男性が抱える「新しい生きづらさ」(清田 隆之) | FRaU 若い男性が恋心を持つのは簡単ではない、ハラスメントに相当するような恋心を抑えながら恋心を持つのは難事業になっている、といった内容のウェブ記事を見かけた。 サークル内の女性への親切さから恋心を持つことがあったとして、それは下心あるセクハラとみなされるのか、そうでないのか。これは、当該男女のコンテキストによっても解釈者の考え方によっても色々だろうが、文中のSさんは繊細なリテラシーに基づいて、自分の振る舞いはセクハラに相当したと悩み、後悔していた。続いて紹介されるMさんも、男性の加害者性を自覚するにつれて自己矛盾に陥り相当悩んでいる様子だった。 このSさんやMさんほど悩んだり自己嫌悪に陥ったりしている男性はまだ珍しいかもしれないとしても、男性が女性に声をかけるということ、男性と女性のコミュニケーションで気を遣う感

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  • 自分自身の動物性と和解しながら生きる - シロクマの屑籠

    いくらカネを稼いでも、真の友人や配偶者を求める「我々の動物部分」は決して幸せになれない。 | Books&Apps 「いくらお金を稼いでも、人は、それだけでは幸せになれそうにない。」 はじめに私がこの疑問を持つようになったのは、バブル景気の真っただ中の1990年、経済的・物質的繁栄が頂点に達していた頃だった。 豊かさとは何か (岩波新書) 作者:暉峻 淑子発売日: 1989/09/20メディア: 新書 日は経済的・物質的繁栄の頂点にたどり着いた。だからといって日人がみんな幸せになるはずもなく。お金やモノに恵まれているはずの不幸せな人やお金やモノと引き換えに失っているものについて、たくさんの論説が記された。上掲の『豊かさとは何か』も、そんなのひとつだ。 学生時代の私はこうしたを何冊か読み、「お金を稼ぐだけではどうやら幸せになれないらしい」ことをまず知識として知った。 この知識が実感へ

    自分自身の動物性と和解しながら生きる - シロクマの屑籠
  • 朝日新聞朝刊にて『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』をご紹介にあずかりました - シロクマの屑籠

    www.asahi.com 今朝(7月25日)の朝日新聞朝刊の読書面のコーナー「著者に会いたい」にて、『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』に関してご紹介にあずかりました。朝日新聞を購読してらっしゃる方、是非読んでみてやっていただけたらと思います。 ところで今回、朝日新聞の記者さんと話していて「新聞というメディアの長所」について話題が盛り上がりました。 この「著者に会いたい」のコーナーのインタビューは2時間ほどにわたり、新聞記者のかたはレコーダーによる録音に加え、たくさんのメモを取り、また事前に私の著書などについて入念に下調べをしていらっしゃいました。他の新聞社さんの取材もそうですが、新聞記者のかたは非常にたくさんの情報をインプットするように見受けられます。 その記者さんに「新聞というメディアの極意のひとつは、"情報の取捨選択を経た圧縮"ではないでしょうか」と訊ねたとこ

    朝日新聞朝刊にて『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』をご紹介にあずかりました - シロクマの屑籠
  • 編集者という種族とコミュニケーションできなかった頃の話 - シロクマの屑籠

    昨日、twitterの片隅で「書籍を出版することについて」の問答を見かけた。 出版社をとおして書籍を出版したいと思う程度は人それぞれで、私は自分の考えていることを書籍にして、ぜひ世に伝えたいと思っていた。けれどもなかなか出版には至れず、ヤキモキした時期が数年続いていた。無駄にした原稿は10万字や20万字では済まない。 しかし今思うと、あれは完全に失敗だったし当時コンタクトを取った編集者の皆さん、およびコンタクトの口利きをしてくださった皆さんにご迷惑・ご面倒をかけて申し訳なかったと思っている。今日は、その頃の失敗について書く。 失敗その1:文章が下手だった 失敗その2:書きたいことと売り物になることの区別がついていなかった 失敗その3:編集者さんとのコミュニケーションに失敗していた 失敗その4:しぶとさが足りていなかった まだわからない部分もあるけれども 失敗その1:文章が下手だった 失敗そ

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  • 少子化の根っこにあるのは資本主義・個人主義・社会契約の浸透だと思う - シロクマの屑籠

    BBCジャパンで、「世界じゅうで出生率が下がっていく」という話題を見かけた(以下参照)。 世界の出生率、驚異的な低下 23カ国で今世紀末までに人口半減=米大学予測 - BBCニュース 少子化は、ヨーロッパ諸国から東アジアへ、次いでそのほかのアジアへ、やがてアフリカへと広がっていくとされている。また少子化そのものが問題なのではない。リンク先で問題とされているのは「あまりにも急激な少子化」だ。 IHMEの研究による予測は次の通り。 ・5歳未満の人口: 2017年の約6億8100万人から2100年には約4億100万人へと減少 ・80歳以上の人口: 2017年の約1億4100万人から2100年には約8億6600万人にまで急増 マリー教授は、「巨大な社会的変化をもたらすだろう。私には8歳の娘がいるので、世界がどうなるのか心配だ」と付け加えた。 とてつもなく高齢化が進む世界で、誰が税金を払うのだろうか

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  • 上京し、コロナ騒動で奪われていた楽しさを思い出した - シロクマの屑籠

    先週末、上京していろいろな人に会って打合せなどをこなしてきた。 報道では、東京では新型コロナウイルスに感染している人が再び増えているという。特に若い人の感染率が高いのだとか。そういったこともあって、戦々恐々としながら出かけた。ただ東京は随分と久しぶりなので、街を歩いて飲店の賑わいとか、そういったものを眺めてみようとも思った。 まず電車。土曜日だからか、かなり空いていた。いや、土曜日だということを差し引いても、ターミナル駅の人の数は少なめで、山手線などでは苦もなく座ることができた。ほかの乗客もだいたい座っていたから過去の土曜日に比べれば空いているほうだろう。 アトレなどを見ていても、お客さんが混んでいる、という感じではなかった。特に長距離旅行客が使いそうな駅弁などの売られているコーナーは空いていた。通りがかった長距離列車を見ていても空いている様子だったから、首都圏に遠くから入ってくる人、首

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  • 日本のサブカルチャーとイタリアワインは素晴らしいガラパゴス - シロクマの屑籠

    漫画やアニメやゲームはガラパゴスなのか? - 狐の王国 少し前、twitter上で「日のアニメ・ゲーム文化はガラパゴス(だから良い/悪い)」といった言い合いのようなものを見かけた。これについて、上掲リンク先のこしあんさんは、「日漫画やアニメはガラパゴスとは言えない。なぜなら20世紀の段階から海外に輸出され、人気を獲得しているからだ。もし(批判的な意味で)ガラパゴスだというなら、制作体制や投資やマネジメントのお粗末にある」といったことを述べている。 一連の話を読んで、私は「いやいや、やっぱり日のアニメ・ゲーム文化は(肯定的な意味で)ガラパゴスでしょ」という思いを強めた。日のサブカルチャーの作品は海外に輸出されて一部のマニアを熱狂させるだけでなく、子どもや、現在では大人までをも魅了しているし、海外のクリエイターにまで影響を与えている。そういう意味では、もう、グローバルに流通し消

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  • たぶん、幸福を管理される未来をみんなは受け入れる - シロクマの屑籠

    アプリによって相手の幸せにどれだけ貢献したかを計測され行動の改善も促される これ会社でやらされたら怖い pic.twitter.com/kelXtwnaat— ゆるふわ怪電波☆埼玉 (@yuruhuwa_kdenpa) 2020年6月29日 すげーディストピア感あってテンション上がる これによりハピネス関係度が一定水準以下の社員は幸福ではないので終了させられ会社には幸せにあふれる 幸福は義務 pic.twitter.com/21LVY0u3CO— ゆるふわ怪電波☆埼玉 (@yuruhuwa_kdenpa) 2020年6月29日 職場のメンバーのうち、誰が周りの幸せに貢献したのかがわかるアプリが開発されているという。幸福が測定され、比較検討されるということは、幸福は管理されるということであり、義務になるまであと一歩だ。 そうなると、幸福ではないメンバー、周りの幸せに貢献できないメンバーは職場

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  • 世代の違いと、語り口や言い回しのキツさの違い - シロクマの屑籠

    「うまく言えないけれど、あの年上の語り口はキツくて受け入れられない」 話は西暦2000年頃にさかのぼる。 私がウェブサイトを作り始めていた頃、しばしば年上の文筆家、ライター、ウェブサイト管理人の文章に嫌悪感をおぼえることがしばしばあった。 彼らが書いている内容に問題があったわけではない。ほとんどの場合、彼らは私に新しい知識をたくさん授けてくれたし、ウィットや世間知にも優れていた。彼らのなかには書籍を出版している人、学者をやっている人もいて、そういった人々の書籍や論文を読み感銘を受けることもあった。知の蓄積という意味では、彼らは尊敬に値する年上だった。 ところがインターネットで見かける彼らの語り口、きっと書籍や論文に比べてカジュアルに語っているであろう彼らの言い回しには、一種独特のキツさが感じられて、どうしても好きになれなかった。嫌いなものをケチョンケチョンにけなす口ぶり、見下す表現、乱暴に

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  • 「生きづらさ」の根源をもっと深く突き詰めてみる - シロクマの屑籠

    生きづらいのは「資主義」や「自由主義」のせいなのか。 | Books&Apps 『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』を読んでくださり、ありがとうございました。また、それに関連して生きづらさについてご意見をいただきました。 「役割が減った」という見方で語れる生きづらさも、あるでしょう。「アイデンティティの確立が難しくなった」で語れる生きづらさがあるのと同じように。 このreplyに相当する文章では、前半で『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』の趣旨に沿ったかたちで「いやいや、でも資主義は2020年現在、人を救うより疎外してませんか」と語ったうえで、後半ではそこを超えた地平をこえて「生きづらさ」の根源について考えていきたいと思います。 いやいや、グローバル資主義、新自由主義は生きづらいっしょ 現代社会は、資主義や個人主義や社会契約が非常に浸透し

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    suzuike1954
    suzuike1954 2020/06/28
    大乗仏教徒としての私は、むしろ悟りは困難で珍しいとのことですが、自分ではなく、他の人々のために自分が何ができるか、何をしたら、喜んでもらえるか、今の苦しみから解放してあげたい、この思いが悟る事と思う。
  • アニメも観ずに『孤独のグルメ』を観るばかりの午後8時 - シロクマの屑籠

    ここ最近は特に無為に過ごす時間が異様に少なくなっていて、実際的なことだけをやっているので、ツイートすることがますます無くなってくる。— 5mm / 5Agape (@pycl) 2020年6月24日 「無為に過ごす」のはもったいない、でも豊かな時間だと思う。自分自身のバリューを高めるだとか、経験を広げるだとか、そういう上昇志向だけで生きていける人は稀だ。誰もが上昇志向でなければならない世の中だからこそ、上昇志向から魂を解き放ち、のんびり過ごすことに贅沢さを感じる。もっと無為に過ごせないものか。 私は「無為に過ごす」を忘れてしまった。しいて言えばこの文章を書いているこの瞬間が「無為に過ごす」に近いかもしれない。が、この文章にも"そろそろブログを更新しとかなきゃ"といった、無為とは言い切れない欲が混入している。 無為で自由な境地で文章に書くことがわからなくなってずいぶん経つ。アニメを観る、ゲー

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  • 「まともな人間の条件」と、そこからはみ出す自分自身について - シロクマの屑籠

    健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会に潜伏しています。 - 犬だって言いたいことがあるのだ。 はてなブログで付き合いの長かったいぬじんさんから、『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会』についてお便りをいただきました。ありがとうございます。せっかくなので、前半章(1.)と後半章(2.)に分かれたreplyをお届けしています。 1.いぬじんさんは、拙著の前半章をご覧になって、こんな風に評しておられました。 シロクマ先生は書の中で、この国の「健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会」のあり方について疑問を投げかけるだけでなく、精神科医としてのご自身の立場に対してさえも疑いのまなざしを向けている。 たとえば、こんな感じだ。 資主義・個人主義・社会契約が徹底していく社会、どこまでも清潔で健康で道徳的になりゆく社会、秩序と社会適応の同心円へあらゆる人を包み込む社会から逃れることは困難になった。家庭でも

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  • アスカの声はこれからも聞こえるか──キャラクターと一緒に年を取ることについて - シロクマの屑籠

    新著が昨日発売されたので宣伝になりそうな文章を書いたほうがいいのだろう。が、そういう時に限って無視しづらいものが目に飛び込んでくる。 プラグスーツ模様の入った弐号機色ちゃんちゃんこ(惣流モデル/式波モデル)— ym404 (@ym404) 2020年6月18日 殺してくれってなるな— ym404 (@ym404) 2020年6月18日 今日、twitterで年の取りかたの話をしていた時、唐突にこのようなエアリプをらった。クリティカルヒット。二つ目の「殺してくれ」というフレーズが惣流アスカラングレーの「殺してやる」という断末魔の呪詛と重なってダメージが大きくなった。キャラクターと自分が年を取っていく未来に毒饅頭を盛られたような気分になり、心は千々に乱れるのだった。 *       *       * キャラクターには、年を取っていくタイプとそうでないタイプがいるように思われる。 惣流/式波

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  • テレビがまとめサイトに見える - シロクマの屑籠

    ゴールデンアワーのバラエティ番組が、周回遅れの「話題の動画」を放送していた。NHKの、それよりは若干真面目そうな番組が、twitterのネタをテレビっぽく切り取って放送しているのも見かける。テレビで動画やtwitterの切り貼りをみると、なんだかまとめサイトみたいだな、と思えてしまう瞬間がある。いやいや、かかっている金額や放送される帯域の広さを考えれば、それはまとめサイトと同列のものではないのだけれども。 かつて、志村けんは素人の投稿したホームビデオをテレビコンテンツとして成功した。当時はもちろんインターネットが普及していなかったから、志村けんのあの番組、あの企画にはオリジナリティがあった。今はそうでなく、まず素人が投稿したコンテンツがインターネットにあって、そこで人気を獲得した上澄みが、テレビ番組に紹介される。 テレビテレビであってネットではなかったはず。 それでもテレビが「まるでネッ

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