少子化の急速な進行の中で、人々の働き方を見直して、仕事と仕事以外の生活の両立を重視する「仕事と生活の調和(work and life balance)」への関心が高まっている。本稿では、仕事と生活の調和に向けた英国企業と政府の取り組みを考察する。英国を取り上げるのは、仕事と生活の調和は従業員の生活の質を高めるだけでなく、企業業績の向上にもつながるという見方がされており、日本への示唆に富むためである。 英国では、大企業が中心になって柔軟な就業形態を提供しており、人々の仕事と生活の両立に貢献している。柔軟な就業形態には、パートタイムやフレックスタイムの他に、学校の学期期間中のみ働く「学期期間労働」など様々な形態がある。フルタイムで働く男性雇用者の2割弱、女性雇用者の3割弱が柔軟な就業形態を活用している。