※前編:「机を蹴飛ばされても前に進む『異色の官僚』」はこちら 当初、厚生省との交渉は惨憺たるもの 三宅:江崎さんは、みんなが絶対に無理と言っていた改革を次々と成し遂げてきました。そして今、取り組んでいるのが、再生医療の制度整備ですね。 江崎:はい。再生医療はヒトの細胞や組織を用いた治療法です。京都大学の山中伸弥教授がノーベル賞を受賞されたように、日本でもトップレベルの研究が行われており、社会的な期待も高いのですが、実用面では欧米にかなり後れを取っています。 というのも、現在、再生医療は薬事法で規制されていますが、薬事法はもともと薬や医療機器を対象にした法律ですので、生きている細胞や組織を使って治療する再生医療には合わない部分が多いのです。 三宅:ヒトの細胞は薬でも医療機器でもないのに、従来の法律に無理に当てはめようとすると、どんな問題が起きるのですか? 江崎:まず、「薬」であれ「医療機器」