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──第一線の銀行アナリストを辞めたのは42歳という若さでした。 自分の役割は終わったと思ったんですね。ゴールドマン・サックスのパートナーを辞めた2007年ごろには、ほとんど自分の提示した形で不良債権問題の最終処理、担保不動産の処分が進んだ。邦銀も2~4行あれば十分と主張して結局主要3行になり、多くの問題にメドがついた。 自分は経済全体から見た金融システムの構造問題を分析するスタンスなので、「EPS(1株当たり利益)は何円か」などに興味がない。自分が得意とする分析はもう必要とされないと思いました。引退後は茶道をしたり京町家を買って修復したり、2年ほど自由にしていました。 そこへたまたま、別荘が隣同士という縁で小西美術の経営を見てくれという話が来て、フタを開けたらこれは大変だと。文化財保護の職人を尊重しているようで、現実には潰している世界であること知りました。 小西美術は漆塗りの老舗ですが、業
※前編:「机を蹴飛ばされても前に進む『異色の官僚』」はこちら 当初、厚生省との交渉は惨憺たるもの 三宅:江崎さんは、みんなが絶対に無理と言っていた改革を次々と成し遂げてきました。そして今、取り組んでいるのが、再生医療の制度整備ですね。 江崎:はい。再生医療はヒトの細胞や組織を用いた治療法です。京都大学の山中伸弥教授がノーベル賞を受賞されたように、日本でもトップレベルの研究が行われており、社会的な期待も高いのですが、実用面では欧米にかなり後れを取っています。 というのも、現在、再生医療は薬事法で規制されていますが、薬事法はもともと薬や医療機器を対象にした法律ですので、生きている細胞や組織を使って治療する再生医療には合わない部分が多いのです。 三宅:ヒトの細胞は薬でも医療機器でもないのに、従来の法律に無理に当てはめようとすると、どんな問題が起きるのですか? 江崎:まず、「薬」であれ「医療機器」
なぜ理系から、国際関係専攻に移ったのか 三宅:今日は私の経産省時代の先輩でもある江崎さんに、話を聞きたいと思います。最初に、江崎さんはもともと理系のバックグラウンドですが、ユニークな発想の原点を知るために、生い立ちも含め、なぜ経産省(当時の通産省)を志したのか、というところから教えてください。 江崎:正直なところ、初めは通産省に入ろうとは考えていませんでした。通産省は日本の官庁でありながら、自らMITI(ミティー)などと名乗り、おしゃれで少し気取った役所というイメージがありましたので、田舎者の自分にはまったく合わないと思っていました(笑)。 三宅:そんなに田舎の出身なのですか? 江崎:私は、岐阜県の山合いの古い家に生まれ、「お前は長男だから家を離れてはいけない」と言われて育ちました(笑)。無医村だったこともあり、子供心に野口英世やシュバイツァーにあこがれ、将来は医者になって困っている人を助
※対談の(上)はこちら 教育とラーニングの決定的な違い 伊藤 日本と米国は、教育とラーニングという違いがあるんじゃないかと思う。出題者が求める答えを返すと満点になるのが教育で、出題者の意図とは違うけれど、出題者をひっくり返すほどの答えなら満点になるのがラーニング。日本はまさに教育国家でしょう。権威にいかに従うかを教えている。規格品をつくる工場労働者を育成するためには必要かもしれませんが、多様化の時代になり、オリジナリティが求められるようになると、権威に従う人材より「それはちょっと違うんじゃない」と言える人材のほうが重要です。 波頭 メディアラボでは、どういうカリキュラムになっているんですか? 伊藤 1人ひとりが自分でやりたいことを決めます。先生は学生をコーチングするという役割で、主体はあくまでも学生ですね。興味があることだから、積極的に、深く勉強する。でも日本では、興味があるから勉強すると
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