今週紹介する言葉は、マルクス・アウレリウスが、現在のスロバキア、フロン川沿岸で、ゲルマンのクァディ族と戦っているときに、書いたものです。 あけがたから自分にこういいきかせておくがよい。うるさがたや、恩知らずや、横柄な奴や、裏切り者や、やきもち屋や、人づきの悪い者に私は出くわすことだろう。この連中にこういう欠点があるのは、すべて彼らが善とはなんであり、悪とはなんであるかを知らないところから来るのだ。しかし私は善というものの本性は美しく、悪というものの本性は醜いことを悟り、悪いことをする者自身も天性私と同胞であること──それはなにも同じ血や種(たね)をわけているというわけではなく、叡智と一片の神性を共有しているということを悟ったのだから、彼らのうち誰一人私を損ないうる者はない。というのは誰ひとり私を恥ずべきことにまき込む力はないのである。また私は同胞にたいして怒ることもできず、憎む事もできない