キム・ステルレルニー著、狩野秀之訳、原著は2001年(ちなみにグールドが亡くなったのが2002年)。タイトルがあまりにもそのまんまなので、商売目的で書かれたものかもと思ったけど、ちゃんとした本でした。著者のステルレルニー(Kim Sterelny)は、カバーの紹介によると「オーストラリアのシドニー大学で哲学を修め、現在、ウェリントンのヴィクトリア大学の哲学教授。オーストラリア国立大学でも教鞭を執る。専門は生物学の哲学、心理学の哲学など」とのこと。 文庫本でそれほど厚くはない。ドーキンスとグールドの主張をそれぞれ対比させ、どこまでが一致するか、どこからが対立しているのかを解説している(一致しているところこそ重要だとも考えられるよ)。ステルレルニー自身の見解も述べられているが、重点は両者の論点の解説にある。両者に対して公平であると言っていいと思う。「両者に対して公平」ってのは、結構凄いことだ。