シス・カンパニーによる『アルカディア』を見てきた。トム・ストッパードによる1993年の芝居で、英語圏では有名作なのだが、意外なことに日本初演らしい。 この作品は「現在」と「過去」ふたつの時間軸が並行して進む。基盤となる「過去」は19世紀初頭のカントリー・ハウスで、数学について考えを深め続ける天才少女トマシナ・カヴァリー(趣里)、その家庭教師セプティマス(井上芳雄)、館の女主人でトマシーナの母であるレディ・クルーム(神野三鈴)、ヘボ詩人チェイター(山中崇)に、舞台には出てこないが屋敷の客として何度も言及される詩人のバイロンなどが絡んで、学問と愛とセックスのいりくんだ物語が展開する。「現在」では、この屋敷にあいかわらず住んでいるカヴァリー一族と、ここに滞在して本を書いている女性作家ハンナ(寺島しのぶ)、ハンナと同じ時期を専門にしている学者のバーナード(堤真一)が、19世紀初頭に起こったことをい