高橋秀樹[放送作家/日本自閉症協会・日本自閉症スペクトラム学会・日本社会臨床学会各会員] *** 自閉症スペクトラム者は(以下ASD:Autism Spectrum Disorder)がある人はは社会性に困難があり、共感性が乏しいと考えられてきた。しかし、この「共感の乏しさがすべての他者に対するものか?」の研究はこれまで行われてこなかった。 昨年2014年11月、京都大学と福井大学が共同で行った研究で、画期的な事実が判明した。その論文の題目は「自閉スペクトラム症がある方々による、自閉スペクトラム症がある方々に対する共感」(2014年11月06日)である。 研究者からのコメントは、以下の様なものである。 「これまで、ASDがある方は共感性が乏しいと考えられてきましたが、本研究において、ASDがある方はASDの行動パターンをする他者に対して、よく共感できるということが示されました。臨床場面への