原核生物でありながら、大型で柔軟な細胞を持ち、他の微小な生物を丸ごと細胞内に取り込んで消化する、真核生物の食作用に似た機能を持つバクテリア(細菌)を発見したのが筑波大学・石田健一郎先生の研究室。原核生物から真核生物への進化を探る上で、極めて重要な発見と注目されている。 大学院生時代に新種の藻類を発見して以来、“プロティスト(藻類・原生生物)ハンター”としてミクロの生物の探索・研究を続ける石田先生にお話をうかがった。 パラオの海中で見つけた「ウアブ」 2020年のお正月明けに日経新聞を見ていたら、不思議な写真が目に留まった。ドーナツのような丸いもごもごしたものの真ん中に、ピーナッツのようなものがある。「ん?」と本文を読むと、筑波大学の石田健一郎教授らの研究チームが、西太平洋のパラオの海中で他の単細胞生物をまるごと捕食する新種のバクテリア(細菌)を発見したという。バクテリアは細胞も小さいし、他