原発事故を解析する 再び、牧野教授の公開用日誌に戻る。 3月14〜16日にかけて、牧野は自分の頭脳をフル回転させている。この時期において、科学的根拠を示しながら、これだけの情報を発信した科学者を、私は他に確認できていない。 ただし、ここの記述を読み取ることは、かなりの物理的な素養が必要である。補足を加えるので、余力のある人は思考のプロセスを追体験して頂きたい。 ここで大事なことは、牧野が行った計算は、基本的な物理量から出発していて、原子炉に特有な事象がないことである。つまり、物理学者、もっといえば、物理を専攻している学生であれば、やろうと思えば誰でも行えた計算である。 しかし、ここまで基本に立ち返って計算した例を、この時期、私は目にしていない。やらなかったのか、やれなかったのか。事実として、この頃にテレビ等に出演していた「専門家」たちは、自らの頭を使っていなかった。これまでの「経験」や「イ