J1残留を決め喜ぶ鹿島の選手たち。終盤まで降格の危機にさらされた初めてのシーズンとなってしまった【Getty Images】 左コーナーに立った名古屋グランパスの田口泰士が、鋭いボールをニアサイドに蹴り込んだ。そこに走り込む田中マルクス闘莉王。2つのベクトルがピタリと合致する、そう思われた瞬間、背後から忍び寄った鹿島アントラーズの岩政大樹が闘莉王を押しのけるように跳び上がり、渾身のヘディングではじき返した。 名古屋の最後のチャンスがついえたことを見届けた廣瀬格主審が、ホイッスルを吹き鳴らす。それを聞いた岩政がほえながらガッツポーズを繰り返し、新井場徹と曽ヶ端準はガッチリと肩を抱き合った。他会場の結果を知っていた昌子源が「残留決定」を知らせてまわると、アドレナリンが出続けていた選手にも柔和な表情が戻り、ベンチだけでなくピッチにも安堵(あんど)感が広まっていった。 「味わったことがないプレ