<検証> 沖縄県・尖閣諸島近海で発生した中国漁船衝突事件は、日本と中国が構築を約束した「戦略的互恵関係」のもろさを露呈した。日本の捜査当局は何を根拠に中国人船長の逮捕を決断したのか。釈放を決めた時、政府内ではどのような動きがあったのか。体をくねらすように、外海へと進む「巨龍」に日本はどう臨もうとしているのか--。船長釈放決定から10月1日で1週間が経過する。これまでの節目を検証した。 ◇強硬一転、腰砕け ◆船長の釈放 24日午前10時。東京・霞が関の法務検察庁舎に、検事総長ら最高検幹部と福岡高検、那覇地検幹部の6人が集まった。中国人船長を起訴すべきか否か。意見は割れた。地検・高検側が「現場の海域が荒らされている。検察が弱腰だと言われかねない」などと起訴意見を具申したのに対し、最高検幹部らは「日中関係がますます悪化すれば、フジタの4人も含めて日本人が脅かされかねない」と突き放した。1時間の協