いつの時代も、創造性の核には個人の「発想」があった。 「発想」をかたちにするには技術のたすけが必要だが、 情報通信技術の発展は、そのプロセスを大きく変えた。 「発想」にはじめから、技術がビルトインされるようになったのだ。 そうした発想のあり方を、かりに「数理的発想法」と名づけてみた。 漫画という表現が、紙からウェブへと飛び出したとき、どんな変化が生まれるか。 今回ご登場いただく高野文子さんの『ドミトリーともきんす』という作品は、 デジタルファーストで描かれ、そのあとで印刷本の作品集に収められた。 しかもこの作品には、日本を代表する四人の科学者の「思考」が描かれている。 科学的思考を漫画として表現するために、いかなる手法がとられたのか。 今回のキーワードは〈物語ではないもの〉である――。 湯川秀樹、朝永振一郎、中谷宇吉郎、牧野富太郎――この四人の共通点は? と尋ねられて、すぐに答えが出るだろ