取材・文/白鳥士郎 「私がCSA会員だというのが大きな理由だったんだと思います」 解説者として電竜戦への協力を求められたきっかけを尋ねたとき、阿部健治郎七段はそう答えた。 CSA――『コンピュータ将棋協会』。 歴史ある団体であり、かつては将棋連盟に挑戦状を叩きつけたこともある。まだ人類が機械より強かった頃のことだ。 なぜ将棋連盟の正会員である阿部は、CSAの会員にもなったのか? 「10年くらい前……2010年に新人王戦で優勝したんですが、優勝者は世界コンピュータ将棋選手権で解説役をするという慣例があるんです。その時に開発者の方々から、将棋ソフトのことについて教えていただいて、それで興味を持ったから入会しました」 とはいえ、解説役として協力することはあっても、わざわざ会費を払って入会までするプロ棋士というのは少ないだろう。 阿部は20代で竜王戦1組に昇ったトップ棋士であると同時に、研修会幹事