よりよい社会をつくるという理念に基づき、社会のニーズを先取りした経営をするためには、未来の社会を予測する必要があるとの考えから提唱された「SINIC(サイニック)理論」。オムロンはこの理論を元に、社会に対し常に先進的な提案をしてきました。今もなお、経営の羅針盤としてオムロンに息づくSINIC理論とはいったいどのようなものなのでしょうか。 SINIC理論とは、創業者の立石一真らが1970年国際未来学会で発表した未来予測理論です。立石一真は「事業を通じて社会的課題を解決し、よりよい社会をつくるにはソーシャルニーズを世に先駆けて創造することが不可欠になる。そのためには未来を見通す羅針盤が必要だ」と考え、自ら未来研究を行い、理論を構築しました。パソコンやインターネットも存在しなかった高度経済成長のまっただ中に発表されたこの理論は、当時の近未来として情報化社会の出現、さらに21世紀前半までの社会シナ