2010.06.22 書評・創造への繋がり 17 『『スロー・イズ・ビューティフル 遅さとしての文化』』 /評者 深澤直人(デザイナー) 『スロー・イズ・ビューティフル 遅さとしての文化』 辻 信一 著(平凡社ライブラリー 1,050円) 評者 深澤直人(デザイナー) 「『はやく』という呪縛」 内容に共感しながら本を読むときは、読むというよりも、文字を追いながら自己の経験を回想しているような感じがする。今回、共感したのは「はやさについて行かねば」という、誰もが抱える強迫観念である。著者はそれを「自分だけが遅れてしまう」恐さ、ゆっくりの価値を知りながら、はやさを緩められない呪縛のようなものだと言っている。そしてこの本、「スロー・イズ・ビューティフル」は、その呪縛に対抗し、そこから自らを解き放つための、自前のまじないであり、処方箋であり、心構えであり、祈りでもあると言ってる。 「ゆっくり」