我が家には教育方針がないけれど、もし何か選ぶとしたら『与えすぎて奪わぬように』が方針だろうと思う。自分の人生の経験から、人生で最も重要で得難い力は後天的にもたらされるものではなく、全ての子供が内側に持って生まれてきていると思っている。だからそれを阻害しないことがまず大切だ。 教育のパラドックスは、子供好きや教育が好きな人はつい子供に関わりたくなってしまい、関わりすぎてしまうところだ。むしろ関わらない方が子供が成長する場面において、良かれと思って子供に関わりすぎると、子供の成長を阻害してしまう。そのようにして、善意のもとに潰れていった才能をたくさんみてきた。 私は運良く、ほどよく放置された。母親はいつも後ろ5ー10mの距離からこちらを見ていて、振り向くまでこちらに声をかけなかった。おかげで私の夢中は壊されず、自分でやってみて、考えて、わからないと聞いてみて、というプロセスが回り始めた。思えば
