こんにちは。北海道大学大学院、文学院所属の酒井駿太郎です。 私はいわゆるオタク文化を研究しており、その中でも特に、投稿サイトなどを使ってインターネット上で発表される小説、「ウェブ小説」を研究対象としています。 ウェブ小説はまだ生まれたばかりの、興味深い研究対象です。 全文が無料で公開されていながら、人気を博して商業出版までされる作品も多い一方、よく見てみると、いわゆる「二次創作」――あるオリジナル作品のキャラクターなどを借りて行う、非公式な創作行為でありファン活動――に似ているところが沢山あります。 オリジナル作品として流通していながら、二次創作という「非公式」な文化――肩肘張らず好きなように遊ぶ文化の血を、色濃く受け継いでいる。 それは同時に、「非公式」の楽しみだけでなく、その裏面として抱える問題を、ウェブ小説が受け継いでいるということでもあります。 詳しくは後述しますが、それは一言でい