次に挙げた小説・漫画の真相に触れていますので、未読の方はご注意ください。 ・山岸凉子「夜叉御前」 ・駕籠真太郎『フラクション』 ・綾辻行人『十角館の殺人』 ・いだ天ふにすけ「手紙」 ・カーター・ディクスン『貴婦人として死す』 ※脚注内 いだ天ふにすけ「手紙」は、COMIC快楽天 2024年 07 月号に掲載された成人向けマンガである。そして同時に、マンガ表現における叙述トリックに挑戦した意欲作でもある。 様々な作品があふれ返っている現代において、叙述トリック的な仕掛けのあるマンガ作品はそれほど珍しいものではない。 それでも、私が本作に強く興味をひかれた理由は、作者自身が自作解説において「叙述トリックがやりたかった」と宣言しているのを目にしたからだ。*1 話の展開に意外性を持たせるための手段としてではなく、目的として叙述トリックを行使した漫画作品となると、それはかなり数が限られる。マンガにお