東京都江東区を流れる川には、「トラス橋」や「下路アーチ橋」が多く架けられています。このような無骨な鉄橋が造られたのはいずれも100年ほど昔ですが、ゴツい鉄橋が採用されたのには、複雑な経緯と納得の理由がありました。 後藤新平の「置き土産」 東京を流れる隅田川の東側、いわゆる江東地区(墨田・江東両区)には、ゴツい鉄製の道橋が少なくありません。これは、大阪や広島、徳島など他の「水の都」では、あまり見られない光景といえるでしょう。 拡大画像 プラット・トラス橋の東冨橋(深川孝行撮影)。 江東区を一直線に横切る小名木(おなぎ)川を見ても、葛飾北斎の浮世絵『冨嶽三十六景 深川万年橋下』でも有名な萬年橋や、西深川橋、新高橋、新扇橋、小松橋という具合に軒を連ねます。 しかも江東地区は特に「トラス橋」と「下路アーチ橋」が目につきます。どちらも鋼材をリベット鋲で接続し、幾何学的に組み上げた重厚感、無骨さがたま