空き家・空き地、所有者不明土地の増加や高経年マンションでの管理組合機能の崩壊など、不動産の所有を巡っては近年、数多くの問題が指摘され、いずれもが根本的な対策を見いだせないままに進行している。それぞれの問題には個別に要因があるが、それを集約して考えると、どの問題にも共通する根本的な課題があると司法書士総合研究所の石田光曠氏。それが不動産の物理的細分化、権利的分散化である。 言葉にすると難しいが、相続の度に土地が小さくなり、所有者が増える状況を想像してみれば分かりやすい。1軒のお屋敷が相続時に売却され、細分化されて5戸の一戸建てが建つ。それにより土地は細分化され、所有権も分散する。日本では戦後、それが繰り返されてきたのである。 売却されない場合でも日本では所有者の死亡と同時に登記の有無には関係なく、暫定的ではあるが当然に所有権が発生してしまう。そこできちんと遺産分割され相続登記されていなければ