ゴミ箱が動き回り、ドローンが上空から巡回警備する。血液1滴、尿1滴で住民の健康状態を測定し、オンライン診療では海外の医療機関とも連携する。デジタル地域通貨を発行し、決済は顔パス(顔認証)で完了。民間、行政のあらゆるサービスは、手のひらのアプリからアクセスできる──。 「スーパーシティ」という名の“未来都市”を目指し、こんな青写真を描いたのは、三重県内の6つの町。2021年7月20日、日本最大級の商業リゾート施設として全面開業した「VISON(ヴィソン)」(三重県多気町)を核に、多気町、大台町、明和町、度会町、大紀町、紀北町が手を組んだ(関連記事「コンビニも自販機もない 反常識商業リゾート『VISON』の挑戦」)。 スーパーシティとは、データ連携と大胆な規制改革によって新しいサービスを生み出し、2030年ごろの未来の暮らしを先取りして実現しようとする都市のこと。「スーパーシティ型国家戦略特別
大いなる森に抱かれ、真新しい“村”が姿を現した。商店が連なり、マルシェが開かれ、農園が広がる。道路はぐるりと曲線を描くように延び、山の斜面に沿ってホテルが威容を示す。山頂には温浴施設があり、薬草の湯で日ごろの疲れを洗い流せる。 敷地面積は、なんと東京ドーム24個分の約119ヘクタール。あの東京ディズニーリゾート(東京ディズニーランド+東京ディズニーシー)よりも広い。構想から足掛け8年。三重県のほぼ中央、人口1万4000人余りの多気町に2021年7月20日、日本最大級の商業リゾート施設「VISON(ヴィソン)」がグランドオープンした。 式年遷宮のごとく20年ごとに修繕 店舗数は73。広大な割には少なく感じるが、ここにヴィソンの商業施設としての特異性がある。 1店1店がまるで家のような形で、村の中に点在している。そしてその1棟、1棟に地元の木々がふんだんに使われている。これは、既存のショッピン
東芝が打ち出した経営再建策「会社3分割案」。かつての名門企業が事実上「解体」の道に踏み出した背景には、圧力を強めるアクティビストの存在がある。今回の分割案に対しても、「非上場化を真剣に検討していない」と、アクティビストは日経ビジネスの取材に失望感をあらわにした。(関連記事:東芝3分割案に「失望」、物言う株主が反発) アクティビストは国内外の株式市場で存在感を高めており、東芝だけの問題ではない。かつては企業の利益をかすめ取るアウトサイダーとして敬遠されていたアクティビストは、今や「正論」を吐く経営の監視者だ。経営者は、敵対か屈服かという二者択一を超えた「真の対話」を迫られている。 「多くのステークホルダーを抱えるシェルは戦略に一貫性を欠き、誰も満足できなくなっている」 米著名アクティビスト・ファンドのサード・ポイントは10月27日、英蘭石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルに会社分割を求めているこ
結局、画期的な内容では合意できないかもしれない──。英グラスゴーで開催されている第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では、そんな疑念が強まっている。各国は2050年~70年の温暖化ガス排出の実質ゼロ(カーボンニュートラル)を掲げているものの、より現実的な30年など近い時点での目標や具体論に踏み込むことには消極的だ。これまでの気候変動問題は先進国が引き起こしており、これから成長する途上国にしてみれば、経済的な制約は不平等だという意見は根強い。 COPが期待外れに終わるのは、初めてではない。恐らくCOP史上、最も落胆されたのは09年にデンマーク首都のコペンハーゲンで開催されたCOP15だ。先進国と途上国で世界共通の目標を設定する会議と位置付けられ、終盤に当時のオバマ米大統領やメルケル独首相などが膝詰めで議論したものの、中国など途上国の反対で交渉は決裂した。会期が延長され、筆者
日本では、国内に風力市場が育たないまま、三菱重工業、日立製作所、日本製鋼所などの主要メーカーが大型風力発電機の開発・生産から軒並み撤退した。一方、デンマークのヴェスタスや独シーメンスはリスクを取った投資で着実に成長した。なぜ、日本勢は劣後することになったのか。「欧州に比べスタートラインで20年以上後れをとった」と話す、三菱重工出身で日本風力発電協会代表理事の加藤仁氏に聞いた。 加藤仁(かとう・じん)氏 日本風力発電協会代表理事。1977年に三菱重工業に入社。エネルギー・環境統括戦略室長、原動機事業本部副事業本部長兼風車事業部長などを経て、2014年にMHIヴェスタスのCo-CEO(共同最高経営責任者)に就任。17年に日本風力開発副会長、18年から現職。(写真:菊池一郎) 加藤仁氏(以下、加藤氏):今振り返れば、三菱重工業が風車で世界一になることもできたと思う。三菱重工は1980年代に風車事
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