→紀伊國屋書店で購入 「生きるための医療的な行為をめぐる1990年代の動き」 この本のタイトルは「医療的ケアって大変なことなの?」という問いかけになっています。この問いかけ自体が、この本全体の主張を示しているのですが、それはまた現在の社会の姿を映し出してもいます。 20世紀後半における医療技術の発展によって、一般的に医療行為と目されるものの中でも、在宅療養の中で日常的に行なわれたり、あるいは入院中に家族によって行なわれたりするような行為が目立つようになってきました。たん吸引や、経管栄養法による注入、人工呼吸器の管理、酸素吸入、導尿、等々です。これらは、確かに基本的な専門的知識を必要としており、また誤ったことをすれば人体に害が及ぶリスクはありますが、かといって素人にはまったく扱えないというわけでもなく、病状の悪化やその他の急性的な症状が出ていない間は、日常生活の一部分として現に遂行されていま