学校法人「森友学園」への関与で注目される首相夫人の安倍昭恵氏。論壇ではこの間、「家庭内野党」と称されてきた昭恵氏の思想に新たな角度から光が当てられている。焦点は、スピリチュアルへの傾斜と国粋的な傾向とが共存している点だ。 「主人と意見が違うように見えても、目指すところは一緒で、日本を取り戻したいんです」。文芸春秋3月号の記事「安倍昭恵『家庭内野党』の真実」は、昭恵氏のこんな発言を伝えた。ノンフィクション作家の石井妙子氏が、昭恵氏へのインタビューも踏まえて執筆した。 脱原発に共鳴し、巨大防潮堤の建設に疑問を呈し、有機農法に取り組む。左派的な言動で、右派的な夫との〈違い〉が注目されてきた昭恵氏。だが石井氏は今回、「ふたりは価値観の基礎の部分を共有」し、「枝葉末節に属する活動については何もいわない、という安定した関係性」を築いている、と記した。 共有点の一つは、「日本の伝統」を称賛し、それが敗戦