NHKスペシャル「フリーター漂流」の制作ディレクターである松宮健一が、同番組を単行本化したものである。 本の内容は、まず番組の内容をほぼ組み入れている。 もちろん、ナレーションをそのまま起こしたものではなく、単行本用に書き下ろされたものだ。 この本は、番組内容をなぞるにとどまらない。 番組で取材した人の「その後」をフォロー 特長の一つは、番組で紹介したフリーターたちの「その後」をフォローしていることである。 やはり気になるのは、映像の最後を「かざった」Hさん(※1)だろう。 35歳、もう後がないという焦燥でいっぱい、なおかつ実直な印象をうけるHさんの運命は、番組のテーマとは別に、個人的な関心を抱かずにはおれない存在だ。 くわしくは本書を読んで知ってほしいのだが、一つだけ。 Hさんは、あの後、ある事情で、50代の男性に、請負の仕事について質問される深刻な場面に遭遇することになる。50代の男性