「狂い」のすすめ (集英社新書 377C) ひろ さちや けっこう売れていたり、評価する人がいたので、遅まきながら読む。 ひろさちやは世間の奴隷になっている人を批判するからいい。現代の日本人って奴隷度はかなり高いのだが、それをまじめだとか「シカタガナイ」とかいって奴隷街道まっしぐらである。変えようとか抜け出そうとかの前向きな意識がほぼ芽生えない。「いい子ちゃん」でやるしかない人にはひろさちやの批判の言葉は「まじめな生き方」の見方をひっくり返してくれるだろう。 セラピーだと思う。癒しである。狂えだとか人生は無意味、ついでに生きる、生き甲斐は不要、希望を持つな、未来の権利放棄、目的意識を持つな、など「前向き」「まじめ」な生き方の欺瞞や自虐性をみごとにひっぱがしてくれる。希望や生き甲斐が私を責め、私の重荷になり、私を苦しめるのである。そういう「虚構」の重量をすっかりどけてくれるのが、ひろさちやの