このシリーズでは1973年に起こったヨム・キプール戦争(第四次中東戦争)をとりあげています。今回は戦争を決着に導いたイスラエルの反撃作戦をとりあげます。 ヨム・キプール戦争の展開 ヨム・キプール戦争はエジプト・シリア軍による奇襲ではじまりました。イスラエルは「エジプトが攻めてくるなんてあり得ない」とたかをくくっており、戦争勃発の兆候に気付いていながら、それを見過ごします。戦争が始まると気付いたのが、開戦のわずか10時間前でした。目の前で数十万の敵軍が動いていても「何かの間違いだ」「本気ではないだろう」と都合のよく考えた結果、奇襲を受けてしまったのです。 エジプト軍はスエズ運河を東へ渡り、イスラエルが支配しているシナイ半島になだれ込みました。イスラエルの戦車を対戦車ミサイルで、戦闘機を対空ミサイルで叩き、大ダメージを与えます。イスラエル空軍は全般的には優勢でしたが、しかし決戦場となったスエズ