はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」 僕は男のくせに子供の頃にピアノを習ってました。 まだそうゆう偏見のある時代でした。 最初は個人レッスンだったんだけど、しばらくしてから合同部屋に移って、女の子ばかりで男の子が一人もいない状況となり、通うのがすごく嫌でした。 一年生になったばかりの頃だったかな、ピアノ教室のひとつ年上の女の子にデートに誘われて、僕は行きたくなかったんだけど家族にヒューヒューひやかされながら背中を押されて、約束の彼女の家の前まで(結構遠い)出向いて行ったんだ。 すると彼女は生意気すぎる大きな家の窓から門の外にいるこちらを見下ろして、クスクスと笑いながらもいっこうに家からは出てこなかった。 状況がよく解らなくて30分~一時間ぐらいずっと自転車にまたがりながら彼女の家の前でひたすら待っていた。 おそらくからかわれたのだろう。 なんてひどい奴なんだ。 しかも好き