Jはあの頃の僕のスターだった。Jの見せてくれた世界は、他のどんなお笑い芸人とも全然違っていた。なんというか、きらきら輝いていた。天性のスターとして生まれてきた男。繊細で、攻撃的で、それでいて、どこか率直なところがある。大したことを言っているわけじゃないんだ。彼はただ、おもしろい話をしているだけなんだ。でも、他のどんな芸人と同じ舞台に立っていても、彼のオーラが圧倒的に場を支配していた。そんな時代がたしかにあった。 あの頃の僕はアホだったので、すぐにJの影響を受けた。もろに受けた。友達におもしろい話をするときの口調は、Jのしゃべり方そっくりになった。「なんでそんなしゃべり方なの?」とある友達に言われた。だって、その方がかっこいいんだもの。 Jは東京に行っても間違いなく売れるだろうと言われていた。僕も、みんなも、J本人もきっとそう思っていた。でも、なぜかJは東京では売れなかった。東京の番組で初め
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く