自動車も新幹線も急には止まれない。氷山と衝突した豪華客船タイタニック号もそうだった。一瞬の判断の遅れが悲劇を生む。これは経営やマネジメントにも当てはまる。 イギリスで建造された豪華客船タイタニック号は大西洋横断の処女航海で氷山と衝突し沈没した。有名な話で映画にもなったのでご存じの方も多いと思う。筆者は企業がある状態になったときに、その状況をタイタニック状態と呼ぶ。それがどういう状態かは後で説明することにして、組織における変革について考えてみたい。 組織の慣性と「能力のわな(Competency Trap)」 時速300km/hで走行している新幹線は急ブレーキを掛けても4km先まで止まらないそうである。慣性があって急には止まれないし。無理に止めれば加速度がかかって乗客が危険な状況になる。新幹線の乗客は4km先まで数分の未来が確定していることになる。 十分成熟した組織にも似たような慣性がある。
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