アルメニア系トルコ人で、新聞の編集長だったフラント・ディンクは、2007年1月、イスタンブールの新聞社事務所の前で、何者かに殺害された。 「私たちはアルメニア人だ」というプラカードを持って、10万人ほどの住民がイスタンブールでディンクの葬儀に参加した様子をネットで見たとき、非常に胸が打たれる思いがしたのを覚えている。 殺害事件後、まもなくして逮捕されたのが、17歳(当時)の少年で超国家主義者のオギュン・サマストであった。当時の地元紙の報道によると、少年は知人の民族主義組織のトップ、ヤシン・ハヤルに殺害を依頼されたという。ヒュリエト紙によると、ハヤル氏はディンク氏を敵視しており、「政府が何もできないのなら、我々が手を下す」などと語っていたという。サマスト容疑者自身は、後の警察への供述の中で、ディンクは「トルコ人を侮辱したために殺害した」と述べていると報じられた。 時は進んで、今年である。去る