しばしば「若者の活字離れ」と言われるが、必ずしもそうした現象が起きているわけではない。新聞は読まれている。ただ、紙ではなく、ウェブで読まれているのだ。読者にとっては、紙を持ち歩いたり処分したりする必要がなくなるわけだから、ウェブの新聞は大変便利なものだ。 したがって、問題は活字離れではなく、新聞がタダになったことだ。その条件の下でどのようなビジネスモデルを確立するかが問われている。しかし、日本の大メディアの内部にいる人たちは、そもそもそうした事態が進行していることさえ知らないようだ。 たとえば、再販制(再販売価格維持制度)がいまだに残っているのも、考えてみれば不思議なことだ。これはメディアが有料であることをそもそもの前提とした制度だが、その大前提が崩れようとしている。自由主義経済のなかで再販制のような競争制限策にすがりつくこと自体が時代遅れだったのだが、制度の大前提が消滅しても、なお制