「愛情をもってやまない工場たちのために、工場にたずさわるたくさんの人たちのために、そして工場を知らない多くの人たちのために、デザイナーという立場だからこそできることがある、と昔思っていました」―この言葉から始まる書籍『工場へ行こう!! デザインを広げる特殊印刷の現場』(雑誌『デザインの現場』2000年8月~04年12月号にて連載)は、デザイナーの高橋正実さんが特殊印刷加工の現場(工場)から生まれた発想をもとに、今まであってなかったような新しいモノを創り出していく工程を一般の人にもわかりやすく紹介している。 ただ、他のデザイン本と一線を画すのは、デザインの可能性だけでなく、デザインを通して「社会」を考えるという考え、つまり『デザインとは社会の問題解決策の一つ』としてデザインを捉えるという、高橋さんならではの深い想いのもとに作られた本だということである。デザインという言葉を広い意味で捉え、未来